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第一話
「日本の金融リテラシー」

①    貯金は美徳

日本では昔から、貯金は美徳と言われてきました。なぜ美徳と言われてきたかというと、
貯金はまわりまわってお国のためになるので、貯金を行う人は、見返りとなる利息や、元本保証がたとえゼロでも行うべきだと思ってきたからです。

敗戦前

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貯金されたお金は

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郵便局に貯金されたお金は

国の道路・ダム建設
社会基盤整備・社会保障費

敗戦後

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​銀行に貯金されたお金は

企業運営や設備のため
長期資金に投資

敗戦した太平洋戦争以前は戦争に必要な軍備費用などのために使われました。そして、敗戦(1945年)で貯金は実質的に価値がなくなり紙切れになりました。しかしその後新しく生まれ変わった郵便局(国営)や銀行に再び貯金されたお金は郵便局を通じて国の道路やダム建設など社会基盤整備や社会保障費などに使われる一方、銀行を通じて企業運営や設備のため長期資金に投資されることになりました。

どこか気持ちの中に残っている“貯金は美徳”という気持ちと約束された高い固定金利のおかげで一層貯金は促進されていき、日本は驚異的なスピードで戦後の復興を果たしてアメリカに次ぐ世界2位の経済大国になりました。

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元金

10年後

1,000,000円→2,158,925円

当時の郵便貯金の金利は8%ほどの固定金利だったと思います。従って、10年で2倍に増えていました。また、当時家を建てる場合は、住宅金融公庫(国営)でお金を借りてそのお金で家を建てました。借入金利は4%ほどだったと思います。現在の住宅ローン金利の0.5%ほどと比べると驚異的な高さです。しかし、余裕のある人はあえて住宅金融公庫から融資を受けて金利8%の郵便貯金をしていました。差引4%のプラスです。現在で考えると預入金利が借入金利を上回る不思議な現象です。つまり、貯金することは国の経済発展のためにもなるが、むしろ高い金利が約束された自分のための有利なものに変わっていきました。

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