top of page

第二話
「一緒に2000万円貯金の山に登りませんか?」

④リスクはリターン、傾斜が距離を稼ぐ​

貯蓄のモデルケースは、老後資金の準備として目標額2000万円を65歳までに30年かけて貯蓄するというものです。これを複利の金利で計算してみると、30年間で2000万円積み立てるためには、金利がゼロ%なら毎月約55000円のお金が必要です。
 

また、その金利が3%なら毎月35000円のお金が必要です。

また、その金利が6%なら毎月21000円のお金が必要です。

そして、その金利が8%なら毎月15000円のお金が必要です。

 

計算は少し難しいですが、しょせんは算数の計算です。実は現実社会の算数は最初から答えが決まっています。それは毎月積み立てることができる金額です。無い袖は振れませんから。65歳までに30年間と言うことは貯蓄を始める年齢は35歳(=65-30)です。

​貯蓄のモデルケース

金利が0 %→毎月55000円のお金が必要

金利が3%→毎月35000円のお金が必要

金利が6%→毎月21000円のお金が必要

金利が8%→毎月15000円のお金が必要

貯蓄を始める年齢は35歳
(=65-30)ですね。
野瀬さん_ふくろう2.png
30年間で2000万円積み立てるために、複利の金利で計算してみると

少し頑張って、支出可能金額を月15000円としましょう。
そうすると、上記の算数で逆算して30年間で2000万円になるためには8%の金利が必要になります。そして、金利8%の「積立投信」を選んでしまいがちです。これは、勘違いです。なぜなら、投資信託で表示されている金利は固定金利ではなく過去の実績を平均したものにすぎないからです。

すなわち、「積立投信」を選ぶ方法は、将来にしかわからないような金利ではなく、自分がどれくらいのリスクを許容できるのかを考えて選ばなければなりません。

私たちはローリスクの投資信託の初心者コースを選んでいます。ついついハイリスクを選んでしまわないように注意しなければなりません。運用の大原則は、ローリスクはローリターン、ハイリスクはハイリターンです。ローリスクにハイリターンはありません。

山登りではよく分かれ道に出くわすことがあります。一方の道が近道(ハイリターン)なら傾斜が急(ハイリスク)だということです。今までの傾斜(ローリスク)で登るつもりなら決められた登山道を登るべきです。

さて、ここで疑問は支払可能額の15000円を貯蓄していって2000万円に到達できるのだろうかということでしょう。結論から言うと「今の段階ではわかりません。」

山を登り始めるとき山頂に到達できるかどうかはわからないのと同じ感じです。しかし、それでも決められた山道を登っていけばいつか山頂に到達するだろうというイメージみたいなものはあります。

では、「積立投信」の貯蓄で積立を続けていけばいつか目標額を達成できるだろうというイメージみたいなものはなんでしょうか?

私はそのような「積立投信」の貯蓄のイメージを以下のように考えています。次の二つの事が相まって「積立投信」で貯蓄の目標額が達成できると思っています。一つ目は、“変動する社会や経済の外部的効果”です。それからもう一つは「積立投信」を行う“自分自身の成長効果”です。ひとつずつわかりやすく説明していきます。

まず一つ目の“社会や経済変動の外部的効果”とは、ごくごく簡単に言いますと“安く買って高く売ることができるのでリターンが得られる”ということです。投資信託の主なリターンの源泉は売買益です。投資信託でリターンが生じる(利益を得る)ということは誰かほかの人が必ずリスクをとっている(損失をしている)ということです。投資信託は行き過ぎた株式投資や債券投資などの中間の利益を得ているようなものです。つまり、投資信託は株価や債券価格などが上がっても下がっても、プラスマイナスして中間で少しの売買差で利益(リターン)を得ています。

しかしながら、このような投資信託も長い間には予期せぬ大きな景気変動の影響を受けます。リーマンショックなどでご存知のように過去30年間にも何回か景気変動の繰り返しが起こっています。そして今後30年間にも社会や経済の大きな変動の繰り返しは必ず起こります。このような変動は金融の専門家も予知できません。またそのようなときは不景気を伴いますので貯蓄の気持ちも下がってしまい、多くの人々にとって、大きな変動時に貯蓄することは大変難しいのです。しかし「積立投信」はそのような時にも貯蓄することができます。なぜなら毎月無理のない金額で続けているからです。そのような時に貯蓄できる人は景気が回復した時により一層大きな売買益(リターン)を得ることができます。このような社会や経済の大きな変動(リスク)が売買益(リターン)に及ぼす効果が“外部的効果”です。
次に、二つ目の
“自分の成長効果”とは、簡単に言うと“自分の経験や知識がついてくるとより一層高いリスクが許容できるようになるのでより一層高いリターンを得られるようになる”ということです。例えば、遠くから“富士山”を見ればよくわかりますが、どの山も頂上に近づけば近づくほど傾斜が急になっていきます。傾斜が緩やかなところをジグザグジグザグしながら登っていくうちにだんだん体が慣れてきて、傾斜が急なところもこれまでと同じように登っていけるようになります。最初からだととても無理だった傾斜も少し頑張ればバランスよく登ることができるようになります。
同じように「積立投信」で貯蓄を始めたころは、金利3%くらい(ローリターン)ですと、毎月15000円拠出しても単純計算で30年後には870万円ほどしか貯蓄できません。最初は安全重視(ローリスク)ですから仕方がありません。しかしながら「積立投信」を続けていくうちに、金融や経済の知識が徐々についてきて、いわゆる「金融リテラシー」が自分に身近なものになってきて、またある程度自分の資金が増えてくればミドルリスク(収益重視)やハイリスク(投機性重視)が許容できるようになってきます。そして、より高いリスクを許容できるようになってくることに伴って、より高いリターンが得られるようになっていきます。このような「金融リテラシー」の習得によるリスク許容度のレベルアップが
“自分の成長効果”です。
従って、「積立投信」による貯蓄は、
“社会や経済変動の外部的効果”と「金融リテラシー」の習得による“自分の成長効果”の結果とによって目標額を達成することができるのだと考えています。
さて、大雑把な計算ではありますが、以上について「積立投信」による貯蓄の目標額達成のイメージを計算してみました。

​・目標額2000万円

・期間30年

・支出可能額月15000円

​モデルケース

野瀬さん_ふくろう2.png

65歳までに2,000万円貯蓄の

達成が予想できる

①金利3%で870万

②外部的効果が1.5倍で→1300万円(870×1.5=1300)

③自分の成長効果のその1.5倍で→1950万円(1300×1.5=1950)

④外部効果と成長効果との相乗効果で→約2000万円(1950)

注)外部効果1.5と成長効果1.5は仮定の計算上の数値です

最後に、これからの貯蓄は社会や経済変動による“外部的効果”を得ながら“自分の成長効果”を高めていくということになりました。“自分の成長効果”によって貯蓄額が異なってくるという点は固定金利時代の従来の貯蓄にはなかった大きなポイントです。

つまり、金融庁が推奨しているように「金融リテラシー(金融に関する知識と判断力)」を身に着けることは、現代の社会で経済的に自立し、より良い暮らしを送るために必要だということではないでしょうか

keirou_family2.png
bottom of page