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第二話
「一緒に2000万円貯金の山に登りませんか?」
①杖(ステッキ)は必需品
第一話の「日本の金融リテラシー」では、現在政府が推進する金融リテラシーをどのようにとらえればいいのかについて貯金の歴史の側面から見てまいりました。第二話では貯蓄することを山登りに例えて、これからの貯蓄の山を一緒に登っていきたいと思います。山登りの経験の無 い方もゆっくり登っていきますのでご安心ください。

さて、山登りにはいろんな装備が必要です。その中でも初心者には“杖(ステッキ)”は必需品です。山を登る場合に傾斜が急になるほど杖(ステッキ)は必要になります。一般的に杖(ステッキ)は体や足の支えになる役目があります。松葉杖はまさしく足の支えになっています。しかし、山登りの場合はもっと重要なことがあります。人間は生まれてから地面に対して垂直に立つように慣らされています。ですから、山の斜面でも垂直に立ってしまいます。しかし、杖(ステッキ)を前方につくことによって、杖(ステッキ)は体を前傾姿勢にしてくれます。前傾姿勢になると斜面で人間は地球の重心に対して垂直に立つことができるようになります。杖(ステッキ)は、体の重心を地球の重力の方向に合わせて前後左右への不要な力をかけずに無意識に山を登りやすくしてくれるのです。山に登っていると、杖(ステッキ)もなく老若男女がすいすい登っていく姿によく出くわして驚かされます。彼らはこのような重心の使い方を長年の山登りの経験から体得しているのだと思います。

さて、初心者が貯蓄という山を登っていく場合にこのような杖(ステッキ)の役目をしてくれるのが「金融リテラシー」だと思います。従来(昔)の貯蓄は階段を上っているようなものでした。一定の高さに上がればそこは平面(固定金利)があり下がるリスクはなかったからです。ノーリスクでした。しかしこれからの貯蓄は常に金利リスクや元本割れリスクという“傾斜”があります。平地はスタート地点だけです。常に体を前傾姿勢にしてくれる杖(ステッキ)の役目になる「金融リテラシー」が必要です。山には傾斜が急なところと緩やかなところがあります。傾斜に合わせて「金融リテラシー」を学び身につければこれからの貯蓄に存在する金利リスクや元本割れリスクと付き合いながら安全にゴールまで到達することが可能なのです。
そしてこの杖(ステッキ)の使い方で大切なことは、前方に突くということです。前傾姿勢をとるためですから当然ですが、ついつい杖(ステッキ)の支えに頼ろうとして後ろについてしまいます。これでは意味がありません。杖(ステッキ)に頼るのではなく自分の行く、自分が足を置こうとする方向に杖(ステッキ)を突くことが重要です。そして次から次へと杖を先送りしていくことで重心を地球の重力に垂直に保ちながら少しずつ斜面を登っていけるようになるのです。
つまり、これからの貯蓄をしていくときには、山登りの杖(ステッキ)と同じように学んだ基本的な金融知識に単に頼るのではなく、自分の行く方向に向けて利用することが重要なのです。そして国内外の政治や経済などの変化に目を向けていけるように少しずつなることが大切なのです。

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